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第30話 早くサインしろ!

last update Last Updated: 2025-10-21 21:29:17

 そこにはこう書かれていた。

『ただし、ゲルダ・ブルームが離婚を希望した場合は異議を唱えずに即座に応じること。以上を持ってこの誓約書は成立する』

私とラファエルが結婚する際、当時の私はラファエルにべた惚れで離婚など絶対に考えられなかったのだ。誓約書を弁護士の元で作成した際に、あまりにも不平等すぎる誓約書だということで、一部この文章を付け足していた。勿論言い出したのは私ではなくノイマン家。

彼等にしても私が自分から離婚を告げるとは考えもしていなかったのだろう。

「な、な、何だこ! の誓約書は!」

「ええ! 絶対におかしいわ! 何かの間違いよ!」

義父も義母も悲鳴を上げる。

「何だ、こんな書類……!」

ラファエルは書類を破こうとした。

「言っておきますが、そんなことしても無駄ですよ。この誓約書は私のですが、ノイマン家でも同じ誓約書をお持ちですよね? それに、この誓約書を作成した際に立ち会って下さった弁護士の先生にも同じ誓約書が渡っているはずですけど?」

「「「あ……っ!!」」」

3人が誓約書を見つめながら声をあげる。……なる程、彼等も今気付いたのか。

大体この世界では一度結婚したら死ぬまで生涯をともにするのが普通。離婚は恥とされ、実家に戻れないのが世間の一般常識なのだから、まさか私が離婚を言い出すとは夢にも思わなかったのだろう。まぁ、当時の私も自分から離婚なんてありえないと思ってサインしたのだけど。

しかし今の私は違う。離婚する気は満々だ。今直ぐ荷物をまとめてここから秒速で出ていきたい位なのだから。

「さぁ、分かったのならこの離婚届にサインをお願いします。おっと、少しでも拒否しようものなら弁護士に訴えますよ。契約不履行だとしてノイマン家を訴えますから。まぁ……そうなると誰が裁判で勝つかは一目瞭然ですけどね? 下手すればこの屋敷を差し押さえられかねませんよ」

腕組みする私を見て益々顔が青ざめるノイマン一家。

「旦那様、早くサインして下さいよ。私は色々忙しい身なのですから。……さもなくば、訴えますよ?」

「な、何だと生意気な……! こうなったら無理やり閉じ込めて……」

義父が私に掴みかかろうとした時。そこへいつの間に現れたのかフットマンのジャンが義父を羽交い締めにした。

「は、離せ! くそ! 全然振りほどけ無いじゃないか! 使用人のくせに主にこんな真似をするとは……さっさ
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